ジョン・ウェイン・ゲイシー(John Wayne Gacy)は、殺人ピエロの異名を持つアメリカのシリアルキラーです。
彼が逮捕されるまでに手に掛けた被害者の数は、なんと33人にもなります。もちろん死刑判決を受けました。
しかし、罪を認めず上告を繰り返していたジョン・ゲイシー。そこへ彼に興味を持ったジェイソン・モスが手紙を出します。
そうして殺人ピエロと18歳の少年との文通が始まるのですが、ジェイソン・モスが最後の被害者になってしまったと言われているのです。
ジェイソン・モスとは?
モスは幼い頃から成績優秀者で、大学では犯罪者の深層心理を独自に研究していました。自分の探究心を満たすため、何人もの凶悪な犯罪者との文通を行っていたのです。
チャールズ・マンソンやテッド・バンディ、有名なシリアルキラーたちと手紙での交流は、モスの自尊心を満たすものだったのでしょう。
中でもジョン・ゲイシーとの交流はかなり深かったとか。
悲劇の始まり
手紙の内容はモスによって、相手の好みに合わせた気を引く内容になっていました。それが、ジョン・ゲイシーの情欲を刺激してしまったのかもしれません。
殺人ピエロはモスの電話番号を調べ、彼と直接話すことに成功。電話でうまく誘導して自分のところへ来させるように仕向けたジョン・ゲイシー。
凶悪な殺人者と深く関われることに、警戒心よりも喜びを感じてしまった少年。
世間を騒がせたシリアルキラーを、自分が手玉に取っていると錯覚してしまったのが悲劇の始まりだったのです。
ジョン・ゲイシーが収監されている施設に着き、彼がいる独房へとモスは案内されます。しかし独房に着くと看守はいなくなり、殺人ピエロと2人きりになってしまうのです。
さすがに動揺を隠せないモスを見て、きっと気持ちが高ぶったであろう殺人者は、彼を監視カメラの死角に追い込みます。
そして自分の情欲を満たそうと行動に移してしまうのです。襲われそうになったモスですが、間一髪のところで戻ってきた看守によって凶行は阻止されます。
最後の犠牲者
その後モスは日常生活に戻り、大学を首席を卒業、犯罪被害者のための弁護士になっています。
しかし大学を卒業した4年後の2006年6月6日、自宅のバスルームで拳銃自殺を遂げてしまうのです。遺書は見付からず、原因は謎のまま。
彼はシリアルキラーたちとの文通から感じたことをまとめて、本として出版しています。
タイトルは『「連続殺人犯」の心理分析』ですが、原題が『The Last Victim』。訳すと「最後の犠牲者」となるのは、なんとも皮肉ではないでしょうか。
彼は結局異常者たちに魅入られて、連れていかれてしまったのかもしれません。
06年6月6日という悪魔をイメージさせる数字の日に命を絶ったことにも、因縁めいたものを感じてしまいます。
「ヨハネの黙示録(新約聖書)」に記述されている獣の数字。解釈はいくつかありますが、悪魔の数字と呼ばれて不吉の象徴となっています。
